鍼灸師を目指す脱サラ男のブログ

元サラリーマンの中年が鍼灸師合格までを綴る日記

春の時期のケガ ピッチャー

少し前の記事で、センバツのベスト8が出揃った際、長崎海星のエース春田君がヒジを痛めてしまっていたことを述べた。

 

翌日のベスト8で、春田君は2回を投げて2失点で降板。その後、リリーフ投手陣が高松商業に集中打を浴び続け、大量失点で敗退した。

 

ここで、2つ注目すべき点がある。

 

1つめは、春田君が前日の時点で痛いことを明らかにし、登板できない可能性があることを示唆したこと。

 

2つめは、春田君が登板間隔がきつくなる前に痛めたこと。

 

この2点について私なりに思うことを簡単に述べる。

 

まずは、1つめについて。私もスコアラーとして様々なチームに関わってきた。これまでに、プロに進んだ選手のうち、2人が全国大会でケガをしていたことがある。

 

1人目は1試合限定で投げ、完封で勝ったものの、次の試合以降は他のピッチャーがすべて投げた。この時には、他の投手陣が大奮闘し、ベスト4まで進んだ。

 

この大会では、チーム関係者と私はケガの話を知っていたものの、マスコミなどには一切公表しなかった。

 

2人目は、コーチ陣だけでケガの話は共有し、マネージャーなどにも一切明かさなかった。しかし、初戦で敗退し、記者会見の場で、監督がエースを温存せざるを得なかったことを明らかにした。

 

つまり、ケガについて明かすのは、いいか悪いかは別として、チームにとってはとても重いことなのだ。特に、特定のピッチャーに依存することの多い高校野球になれば、なおさらである。

 

反面、春田君が明かしたのは、監督・コーチ陣とそれなりに信頼関係があったからだと思う。というのも、残念ながら指導者の中にはケガで休むことを怠けとみなしたり、選手の健康よりも目先の勝利にこだわったり自己保身に走る人もいるからで、そういう指導者であればケガで投げられない可能性を示唆すること自体言語道断なのは明らかである。

 

だとすれば、長崎海星の指導者と選手の信頼関係はそれなりに良好で、そのことは望ましいと考えられる。

 

実際、春田君は2回を投げ、1回は無失点で切り抜けたものの、2回に2失点した段階で、早々と継投に入った。

 

もう1つの、過密日程でもなく、シーズンが始まってから間もないタイミングでのケガについて述べる。

 

一般的に、野球の練習では、冬場にフィジカルトレーニング中心のメニューをするチームが多い。問題は、ピッチング練習を本格的に開始するタイミングとしてからである。

 

前提として、人の筋肉などは新しいことを始めると3~4週間くらい経過して始めて動きに対応できるようになると言われている。つまり、投げるトレーニングを開始してから、3~4週間して初めてフィジカルトレーニングの成果がピッチングにもなじむようになる。

 

ところが、3~4週間程度の間に、フィジカルトレーニングで発達した筋肉と投げる筋肉のバランスが崩れてしまい、肘や肩を痛めるケースが多発する。特に、春先にそういう患者が多く病院に足を運ぶために、肩を痛めた場合には「スプリングショルダー」、肘を痛めた場合には「スプリングエルボー」と呼んだりする。

 

高野連の場合、練習試合解禁日を例年3月8日(今年は3月7日)としている。センバツの開幕は3月20日。つまり、練習試合解禁日からわずか2週間で仕上げなければならない。

 

九州の知人によれば、大会前から春田君の肘はあまり思わしくなかったとのこと。もしスプリングエルボーだとすれば、調整の方法なども今後考える必要が出てくるのではないか?

 

なお、馬見塚先生の書かれた『高校球児なら知っておきたい 野球医学』には、冬場でも完全に肩を休めるのではなく、5~60パーセントくらいにしておく方が医学的にスポリングエルボーやスプリングショルダーを防ぐことができる、と書かれている。

 

正直、この問題で即結論を出すことはできないが、シーズン開始直後のケガを考える上で、とても重大な提起だったと思う。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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